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有料老人ホーム選び、まずは「重要事項説明書」を入手。
介護付 有料老人ホームを選択するにあたり、めぼしい候補となる施設のいくつかに目をつけた後まず第一にやるべきことは、その候補先となる有料老人ホームに対する「重要事項説明書」の請求です。
有料老人ホームは、入居希望者から「重要事項説明書」を求められたような場合は、必ず提示しなくてはならないこととなっています。
「重要事項説明書」とは、有料老人ホームの主な概要について、介護保険制度指導指針のもとで記載される書面です。
自治体ごとに定めた書式により記入されることになっていますが、基本的には厚生労働省で作成した様式(本PDFの18ページ目以降)にのっとっています。
また、具体的には「介護サービス情報公表システム」から、自分の居住地域に関わる掲載情報をいくつか読んでみることをおすすめします。
この掲載項目は、基本的には「重要事項説明書」と同様の形式で掲載されているため、具体的なイメージがつかみやすいからです。
なお、この「重要事項説明書」の末尾に、「契約を前提として説明を行った場合は、説明を受けた者の署名を求める」という一文と共に、説明を聞いた者の名前を書く署名欄があることにお気づきでしょうか?
この署名後は、「受けた説明の内容を理解した」と基本的に判断されるので、契約段階においては不明点が無いよう、万全を期しておく必要があるわけです。
有料老人ホーム、「入居一時金」相場と万一の返還金額。
有料老人ホームで取得する居住の権利としては、「入居一時金」と「月額利用料」を支払って居室に住む権利とサービス利用権を得る、いわゆる「利用権方式」が最も一般的です。
ここではこの「入居一時金」について、注意すべき点を数回にわけてチェックしていきます。
最近でこそ、「入居一時金ゼロ円」を売り文句にする有料老人ホームも増えてきているものの、それでも入居一時金の平均費用は、およそ2,000~3,000万円程度といわれています。
入居一時金が数十万・数百万円程度の有料老人ホームがたくさん存在する一方で、高級感を売り物にする有料老人ホームにおいては数億円という事例もあり、施設によってその設定幅は非常に広くなっています。
ちなみに地域別でみると、関東地方の入居一時金の平均は1,200万円強、近畿圏は1,000万円程度、北海道・東北にいたっては600万円弱となっており、地域によってずいぶんと相場に差があることがおわかりいただけると思います。
老人ホーム側が入居一時金を求めること自体は、法律違反でもなく別に問題はありません。
しかし想定される入居期間より前に退所する場合は前払金の未償却分を返還する必要があるため、老人福祉法において「前払金の保全措置」が義務づけられています。
特に入居一時金が高額であればあるほど、「万一の際の返還金額と返還方法(時期)はどうなってくるのか」という点については、契約前に「重要事項説明書」などをよく読み、必ず確認しておく必要があります。
なぜならば、入居のときはこれからどの施設に入居するかという点で頭が一杯になっていることが多く、トラブルや施設の倒産による「中途退去の可能性」については、「想定外の事態」としてまったく気が回らないことが、現実の事例としても非常に多いからです。
万一の中途退去となった場合には、たいていの場合、退去した施設に預けていた入居一時金をすぐ返してもらって、次の施設においてもそのまま使おう…と考える人が多いのですが、「退去にあたって即時に返却する」という規定を置く老人ホームはほとんど無く、大抵の場合、1~3ヶ月後に返金時期を設定しているはずです。
有料老人ホーム、「入居一時金」の保全措置について。
入居時に一括して支払うこの「入居一時金」は、一定の期間にわたって償却されていきます。
なお、償却期間が終わった段階でまた新たに一時金が請求される…といったことはありません。
「入居一時金」は「家賃の前払い」の性格を有しているため、実際に入居していた年月の分は戻ってこないものの、入居者の死亡時や中途退去時においては、それ以外の分は、当然に返還されることになります。
また、入居していた施設が倒産してしまった場合も、同様に返還されることになります。
しかしながら現実には、入居者の死亡時や退去時において、入居一時金が戻って来ないというトラブルが、かねてから絶えませんでした。
そこで、改正老人福祉法では、これから新設される有料老人ホームにおいては、仮に運営会社が倒産したとしても入居一時金の一定額(まだ住んでいない分の家賃)が保全されるという、「一時金の保全措置」を義務づけています。
なお、公益社団法人 全国有料老人ホーム協会に加盟している有料老人ホームの場合は、入居者基金が設けられているため、仮に有料老人ホーム側で返却不能となった場合であっても、この全国有料老人ホーム協会から返金されるため、入居候補先が同協会の加盟業者かどうかもあわせてチェックしておくようにしましょう。
また、特に入居契約後90日間の退去の場合には、クーリングオフ(契約解除)の指導指針が置かれていました。
これは、おおむね90日以内の施設退去ならば、原状回復のための費用や日割りで計算した実際の使用料金分を除いてではありますが、支払った金額の全額を返還しなければならないというもので、入居一時金においても適用されていました。
しかしこれまでは、これはあくまで有料老人ホームの設置運営基準として記載される「ガイドライン」に過ぎず、違反者に対する強制力はありませんでした。
法的な根拠が今ひとつ不明確であったこともあって、重要事項説明書に意図的に記載していなかったり、あるいは返還金から実費と称して大きな金額を差し引くなどしていた事業者も、少なくありませんでした。
「有料老人ホームの入居一時金をめぐるトラブル」が一向に絶えないという背景もあり、老人福祉法が改正され、この「90日以内の契約解除に伴う一時金の返還(90日ルール)」が、ついにはっきりと法制化されることになりました。2012年4月1日から施行されています。
今回の法改正によって「90日ルールの内容が法的に確定」されるとともに、都道府県の改善命令および罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)も設けられることになりました。
有料老人ホーム、「入居一時金の初期償却」には注意。
たとえば1年後に有料老人ホームを中途退去するような場合、「入居一時金」が最終的にいくら返還されるのかは、基本的にはそれぞれの「有料老人ホーム」が定める返還金の計算方法にもとづいて、決められることになります。
したがって、まず入居契約前に「重要事項説明書」をよく読んで、その返還金の計算方法を確認する必要があります。
とりわけ、「初期償却」の額、そして「償却方法・償却期間」がどうなっているのか、に注意する必要があります。
老人ホーム側が入居一時金を求めることそのものに法的な問題は無く、またどのように償却するかについても、(よほど公序良俗に違反するような場合を除いて)老人ホーム側のルール設定に委ねられているからです。
「初期償却」とは、その施設への入居した最初の段階で、いわば有無をいわさずに施設側にとられてしまう金額です。
有料老人ホームの広告を見ると、重要事項欄に「初期(一時)償却:20%」などと書かれた部分がありますが、この初期償却の金額(初期償却率(%))が少なければ少ないほど、戻ってくる金額が大きいということになります。
初期償却率は、ホームによって15%程度から100%(!)まで様々ですが、入居一時金の金額そのものが施設によって幅が大きいので、%の大小だけで見ずに「結局、初期償却の分を差引くと実額でいくら残るのか」に、注目するほうがよいでしょう。
介護付老人ホーム、職員・スタッフの「質」をどう調べるか。
国家資格である「介護福祉士」の保有者は、一般に待遇面が比較的よいとされる特養や大手の有料老人ホームに就職先を求める傾向があり、新しい老人ホームはその採用確保にずいぶん苦労しているようです。
その一方、「ヘルパー」の資格は一定時間の講習を受けることで取得できるため、現場での介護経験は乏しいと言わざるを得ないのですが、人材難からスタッフのほとんどがヘルパーでしかもパートタイマー…という施設も多くあるのが、現状です。
賃金水準も高く介護業界の人材不足が深刻とされる大都市地域の施設ほど、スタッフの質に問題を抱えるケースがむしろ多くなっている、ともささやかれています。
たとえ大手業者であっても、介護スタッフの確保と教育にはどこも非常に苦労しているのが現実です。
そもそも人生経験の豊かな高齢者に対して、社会経験の浅い若者が身の回りのお世話をする…という構図なわけですから、入居者の求めや抱える悩みを先回りして行動できる人材がはじめからたくさん揃っていることを期待するほうに無理がある、とも言えるかもしれません。
また、介護業界の職員・スタッフの年収水準も、激務ともいえる労働環境に比して250~400万円程度に止まっており、加えて年齢や経験を重ねてたとしても収入が増加する保証もなく、結局疲れ果てて他業界に転職したり、あるいは有資格者であっても業界で働こうとしない若者が非常に多くいるのが、残念ながら現状となっています。
(これについては、姉妹サイト内記事介護報酬の改定が、介護施設の利用者にもたらす影響。をあわせてお読みください。)
介護付老人ホーム、食事についてはここをチェック。
老人ホームの入居者にとって、食事は日々の生活に彩りを添える楽しみの一つであってしかるべきですが、現実には自らの入居する施設の食事内容に満足している入居者は少なく、老人ホームに対する評価が厳しくなる理由のひとつとなっているようです。
そのような中、老人ホーム側でも差別化をはかるため、「食事内容・サービスの充実」を謳い文句にする施設の数は、増加傾向にあります。
現状では、外部からの配給による給食方式をとっている施設が大部分のため、メニューが定型的になったり、料理が冷めていたりということについて、ある程度はやむを得ない面は確かにあります。
しかし、単に外部からの調理食を右から左にそのまま出しているだけの施設は、食事サービスの提供における工夫が乏しい、と言わざるを得ないでしょう。
このような点を確認するためにも、体験入居では昼食を必ずあわせて申し込むようにし、食事の献立がどのようなものか、給仕の様子や入居者間の食事時のコミュニケーションの様子などとあわせて確かめておくことが必要です。
身元保証人がいない時の、老人ホームへの入所手続。
介護付有料老人ホームに入所する際は、身元保証人(身元引受人)が求められることになります。
「発生した損害の補償」と「身柄の引受」という多少のニュアンスの違いはありますが、一般に介護施設の入所契約では「身元引受人」と「身元保証人」は同じ意味で使われていると考えて、まず問題ありません。
ちなみに有料老人ホームの入居者のおよそ半数は、子供が身元引受人になっているのが現状です。
身元引受人の基本的な役割は、入所する老人ホーム関連で発生した金銭的負担を本人が精算できなくなったとき、代わって支払うことが主となります。
利用料の支払いを年金の振込口座からの自動引落にしておけば、本人が生きている限りは問題ありません。
しかし本人が認知症になるなどして月額利用料が払えなくなった場合は、身元引受人が代わって払うことになります。
また本人が入居中に施設の器物を壊したりした時は、損害の補償を求められる可能性もあります。
最近では万一の際の補償能力を担保する狙いからか、「2名以上の身元引受人」を求めたり「年金生活者は身元引受人として認めない」施設も散見されます。
要介護度が悪化し老人ホームの住み替えのために退去する時は、本人の私物を引き取ったり、本人が在所中にホームで亡くなったときは身柄の引き取りも行います。
葬式やお墓の手配も身元引受人が行うのが原則ですが、入居先の老人ホームでお別れ会・偲ぶ会をしてくれたり、共同墓地に納骨してくれることもあります。
老人ホーム入所中に本人が万一そのまま亡くられた場合、ホームとして通常どのような対応をしているのかは、あらかじめ聞いておくほうがよいでしょう。
介護居室への住み替えと、入居一時金・追加費用。
介護付有料老人ホームの中には、要介護状態の入居者のみ受け入れる施設もある一方で、自立した生活が可能でも入居OKとするところも少なくありません。
ホームの開設当時は「住宅型」として募集を開始し、のちに経営上の理由から「介護付」へと看板を変えたがために、結果的に自立する入居者と要介護者が混在しているケースもあります。
入居時に健康であっても後に介護が必要になったり、あるいは身体的に健康でも認知症を患った場合などに、施設側と話しあった上でそのホーム内の「一般居室」から「介護居室」へと移ることがあります。
「介護居室」は一日の大半介護を必要とする高齢者が入居する部屋であり、ワンルームタイプの個室が多くなっています。
その介護付有料老人ホームのグレードにもよりますが、本人が室内を広く動き回る体力を失っていることから一般居室に比べて部屋面積が狭く、施設側が介護サービスを提供しやすい居室構造になっていることが多いようです。
同じホーム内の居室移動のため通常移動にかかる費用は徴収されませんが、いったん「退去扱い」にして、入居一時金を精算するルールを設けている施設は少なくありません。
この時に、利用者に不利になるような形で精算されるトラブルが起こりうることは、ホームを中途退所するケースと同様です(有料老人ホーム、「入居一時金の初期償却」には注意。ご参照。)
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