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有料老人ホーム、「入居一時金」の保全措置について。


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入居時に一括して支払うこの「入居一時金」は、一定の期間にわたって償却されていきます。

なお、償却期間が終わった段階でまた新たに一時金が請求される…といったことはありません。

入居一時金」は「家賃の前払い」の性格を有しているため、実際に入居していた年月の分は戻ってこないものの、入居者の死亡時や中途退去時においては、それ以外の分は、当然に返還されることになります。

また、入居していた施設が倒産してしまった場合も、同様に返還されることになります。

しかしながら現実には、入居者の死亡時や退去時において、入居一時金が戻って来ないというトラブルが、かねてから絶えませんでした。

そこで、改正老人福祉法では、これから新設される有料老人ホームにおいては、仮に運営会社が倒産したとしても入居一時金の一定額(まだ住んでいない分の家賃)が保全されるという、「一時金の保全措置を義務づけています。


なお、公益社団法人 全国有料老人ホーム協会に加盟している有料老人ホームの場合は、入居者基金が設けられているため、仮に有料老人ホーム側で返却不能となった場合であっても、この全国有料老人ホーム協会から返金されるため、入居候補先が同協会の加盟業者かどうかもあわせてチェックしておくようにしましょう。


また、特に入居契約後90日間の退去の場合には、クーリングオフ(契約解除)の指導指針が置かれていました。

これは、おおむね90日以内の施設退去ならば、原状回復のための費用や日割りで計算した実際の使用料金分を除いてではありますが、支払った金額の全額を返還しなければならないというもので、入居一時金においても適用されていました。


しかしこれまでは、これはあくまで有料老人ホームの設置運営基準として記載される「ガイドライン」に過ぎず、違反者に対する強制力はありませんでした。

法的な根拠が今ひとつ不明確であったこともあって、重要事項説明書に意図的に記載していなかったり、あるいは返還金から実費と称して大きな金額を差し引くなどしていた事業者も、少なくありませんでした。


「有料老人ホームの入居一時金をめぐるトラブル」が一向に絶えないという背景もあり、老人福祉法が改正され、この「90日以内の契約解除に伴う一時金の返還(90日ルール)」が、ついにはっきりと法制化されることになりました。2012年4月1日から施行されています。

今回の法改正によって「90日ルールの内容が法的に確定」されるとともに、都道府県の改善命令および罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)も設けられることになりました。

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具体的には、以下のとおりです:

・有料老人ホーム・グループホームへの入居後一定期間内(おおむね90日以内)の契約解除または本人死亡の場合には、厚生労働省が定めた一定の費用を除き、前払金等は全額返還しなければならない(ただし、この前払金の全額返還は、「2012年4月1日以降の入居者」が対象になります)。

90日の入居起算日は、「入居日」とする。

・利用者保護の観点から、事業者は「家賃」「介護等のサービス費用」「敷金」のみを受領可能とし、権利金やその他の金品を受け取ってはならない(これは、2012年3月末までに設置の届出をした有料老人ホームについては、2015年4月1日以降に受領する金品から適用となります)。


「90日ルールの法制化」は、これから入居する利用者にとっては、なんらかの事情で入居後にすぐ退所するようなことになった場合などに心強いでしょう。


さらに2017年(平成29年)5月に成立したいわゆる「地域包括ケアシステム強化法(一括法)」で老人福祉法が改正され、「前払金保全措置」がすべての有料老人ホームに拡大適用されることになりました

これまで「2006年3月以前に設立されたホーム」は前払金保全措置の適用対象外でしたが、今回の法改正によってこれらの施設にも適用されることになりました。

これは2018年(平成30年)4月からの適用ですが「経過措置」が設けられており、「法律の施行から3年後の完全適用」となっています。


ただ法律の改正こそ進んでいるものの、全体的な実効性についてはまだ問題が残ります。

入居一時金をルールどおりにきちんと返還するには、まず前提として、事業者が前払金の保全措置をきちんと講じている必要があります。


しかし実際は、この保全義務そのものに違反して、前払金の保全措置をとっていない事業者も相当数いるとのことです。実際に保全を行っていない法律違反の有料老人ホームは年々減少傾向にあるものの、厚生労働省の2016年度(平成28年度)調査によれば全国で1,311施設中53件、全体の4%でした。

中小の有料老人ホームの一部には、「自分の所はクーリングオフはやらない」と広言してはばからない施設も、現実に存在するようです。

そのような施設においては、万一の倒産のときなどに入居一時金が返還されないリスクが、高いまま残ることになります。

やはり入居契約の前に、自らの手できちんと調べて確認しておくことが必要ですね。


危ないと思われる施設にははじめから近づかないのが一番ですが、保全措置クーリングオフ規定の有無のチェック以外にも、万一のリスクを補うため、たとえば親会社や銀行の連帯保証などがあるか、または独自に民間保険等に加入するといった具体的対策を施設としてとっているかどうか、などの点についてもチェックしておくべきでしょう。


さて、「入居一時金」が最終的にいくら戻ってくるのか?に関しては、「初期償却の額」そして「償却方法・償却期間」がどうかという点についても、契約前に確認しておく必要があります。

有料老人ホーム、「入居一時金の初期償却」には注意。では、この点についてご説明します。


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