介護居室への住み替えと、入居一時金・追加費用。
介護付有料老人ホームの中には、要介護状態の入居者のみ受け入れる施設もある一方で、自立した生活が可能でも入居OKとするところも少なくありません。
ホームの開設当時は「住宅型」として募集を開始し、のちに経営上の理由から「介護付」へと看板を変えたがために、結果的に自立する入居者と要介護者が混在しているケースもあります。
入居時に健康であっても後に介護が必要になったり、あるいは身体的に健康でも認知症を患った場合などに、施設側と話しあった上でそのホーム内の「一般居室」から「介護居室」へと移ることがあります。
「介護居室」は一日の大半介護を必要とする高齢者が入居する部屋であり、ワンルームタイプの個室が多くなっています。
その介護付有料老人ホームのグレードにもよりますが、本人が室内を広く動き回る体力を失っていることから一般居室に比べて部屋面積が狭く、施設側が介護サービスを提供しやすい居室構造になっていることが多いようです。
同じホーム内の居室移動のため通常移動にかかる費用は徴収されませんが、いったん「退去扱い」にして、入居一時金を精算するルールを設けている施設は少なくありません。
この時に、利用者に不利になるような形で精算されるトラブルが起こりうることは、ホームを中途退所するケースと同様です(有料老人ホーム、「入居一時金の初期償却」には注意。ご参照。)
したがって、本人が健康なうちから介護付有料老人ホームへの入居を考える場合、将来の介護居室への住み替えを想定してその時の入居一時金の精算ルールがどうなっているのかを、契約前に重要事項説明書等でよくチェックしておく必要があります。
有料老人ホーム選び、まずは「重要事項説明書」を入手。
また部屋が狭いぶん、一般居室よりも月額利用料を安く設定している施設も多いのですが、おむつ代などの消耗品費や追加管理費等の上乗せは想定されるため、介護居室に移った場合の追加費用等についても、入居前におおまかに試算しておくとよいでしょう。
夫婦2人とも健康な段階で入居し、あとで片方の介護が必要になってくるケースもあり得ます(夫婦の入居は同じ部屋に住むため、入居一時金や管理費を1人入居に比べ安く設定している施設が多い)。
このような場合は施設によって対応が異なりますが、原則として2人とも介護居室に移ることを求めるホームが多いようです。
ただし追加費用を払うなどして、同じホーム内で健康な1人が一般居室に住み続け、介護が必要な配偶者が介護居室に移ることができる施設もあります。
介護付有料老人ホームの入居時は、施設やサービスの内容を調べるのに手一杯で、住み替えが起きたときの追加費用や精算面で、入居条件がどう変わってくるかまで気が回らないケースは、意外に多いものです。
「一般居室から介護居室への住み替え」は、あらかじめ想定しておきたいホームの選び方のポイントの一つです。
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