介護保険、「認定区分の引き下げ」がもたらす影響とは。
有料老人ホーム、介護保険が使えないサービスに注意。の続きです。
介護サービスを利用する第一歩として、まず自ら(または家族が)「要介護認定」の申請を行うことになります。
この申請は、利用する本人が居住する市町村の役所や、「地域包括支援センター(在宅介護支援センター)」に対して行うことになります。
「地域包括支援センター(在宅介護支援センター)」については、当サイトの姉妹サイト介護施設と介護老人福祉・保険施設 その種類と役割内の、「地域包括支援センター」「在宅介護支援センター」。を、ご参照ください。
まずは市町村に連絡し状況を説明して、担当窓口を確認するところからはじめましょう。
なお、申請時には介護保険証と一緒に、「主治医意見書」という、病状や介護についての医師の意見書が必要になります(特に主治医がいないという場合は、担当窓口に相談してみてください)。
その後、調査日を事前に連絡したうえで、調査員が本人の現状確認などを主な目的に「訪問調査」にやってきます。
訪問調査の後にいよいよ、「認定審査」が行われるわけですが、これは「一次判定」・「二次判定」と、二段階の手順を踏みます。
「一次判定」は訪問調査の結果を受け、コンピュータで行われます。
「二次判定」は、保険・医療・福祉の専門家から構成される「介護認定審査会」で行われ、これが最終決定となります。
要介護認定の区分においては、「一次判定」の結果が「二次判定」でより厳しく変更されることによって、これまで受けられた介護予防サービスが受けられなくなったり、あるいは大幅なサービスの制限を受けるといういわゆる「認定区分の引き下げ」が、全国的に散見されるようになってきています。
「要支援」よりは「要介護」のほうが、またそれぞれ数値が大きいほうが、介護の状態も重くなるものの、利用できるサービス・支給基準限度額も多くなります。
「認定区分の引き下げ」によってもたらされる介護サービスの利用規制は患者・家族の負担増に直結するため、適切な認定を行ってもらえるよう、申請者側としてはきちんと事前準備を行う必要があります。
とりわけ、申請した後の「訪問調査」時に必要以上に元気に振舞ってみせたり、あるいは「主治医意見書」があまり簡潔に作成されていたりすると、的確な二次判定を得られなくなるリスクが高まるとも言われます。
得られた認定結果にどうしても納得いかなければ、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し「区分変更申請」を行うこともできます。
さて、認定結果が申請から一ヶ月ほどで到着しますので、その区分にもとづいて、介護(予防)サービスをいつ・どのくらい利用するかということについての計画、いわゆる「ケアプラン」を作成する必要があります。
これは「要介護1~5」の場合は担当ケアマネジャーが、「要支援1・2」の場合は地域包括支援センターの職員が作成することになっており、窓口が分かれていることには注意しましょう。
ちなみにこのケアプラン作成の報酬は保険でまかなえるため、自己負担などはありません。
その後、最終的に「ケアプラン」の細かい点を詰めた後で、介護サービスごとに契約書が作成され、個々に契約したうえで、それぞれの介護サービスを受けていくことになります。
以上が、介護保険の申請からサービスを受けるまでの、大まかな流れとなります。
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