有料老人ホームの広告は、「重要事項」のチェック優先。
有料老人ホーム広告の読み方を、身につける。からの、続きです。
2006年3月、公正取引委員会は、有料老人ホームのパンフレットの不当表示で、業者二社に対して、公正取引委員会の処分としては最も重い「排除命令」を出しています。
2003年からの4年間で排除命令を出した有料老人ホームは、実に10件近くにものぼるそうです。
華やかな広告ですばらしいイメージを脳裏に刷り込んだ後にむりやり成約に持ち込むため、広告をいわば撒き餌と考えている悪徳業者は、この有料老人ホーム業界にも少なからず存在するのです。
私たちは、怪しい広告を見抜くための知恵と知識で武装することで、悪徳業者のカモにならぬよう、十二分に気をつけなければなりません。
なお、これら前面に配置されているカラー写真やイラストなどのイメージ部分はもっとも目立つため、一般消費者としてはその広告対象物件につい肯定的なイメージを持ちがちですが、実はこのようなイメージ部分は特に規制されていないのです。
しかし、イメージはあくまでイメージにすぎません。
私たちは冷静さを取り戻し、「重要事項」の記載箇所に注意深く目を走らせることを優先するべきなのです(有料老人ホーム、重要事項説明書と財務情報を読む。ご参照)。
とりわけ、建設前に「青田売り」されている新築の有料老人ホームなどは、「完成予想図」として華やかなイメージのイラストなどが、チラシの前面に描かれているのが普通です。
しかし、新築の老人ホームに最初の住人として入居できるハッピーなイメージを勝手に描いてしまうと、つい雰囲気にのせられ、説明会で営業マンに勧められるままに契約の判をついてしまう…という過ちをおかしてしまいがちなものです。
新規開設予定の有料老人ホームは、営業マンが早く契約させようとして、強引な勧誘をしてくることも珍しくありません。
うかつに広告のチラシを持ったまま説明会場に出向き、その場で契約まで持ち込まれてしまうことの無いようにしましょう(もっとも万一契約してしまった場合において、契約後8日間は、「クーリングオフ」による契約解除が可能となっています。でもやっぱり、契約後にバタバタするのはなにかと疲れますからね)。
介護付有料老人ホームの入居候補先を検討する場合は、日頃から新聞広告のチラシに入ってくる有料老人ホームの広告を積極的に見るようにするとともに、「重要事項」の記載箇所を読み解いて、候補先をふるいにかける眼力をぜひ養っておくようにしたいものです。
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