介護付有料老人ホーム、「終の住み家」の期待は禁物。
パンフレットが誇大広告である場合ももちろんあるでしょうが、入居側が介護付有料老人ホームに対して最初から過剰な期待を抱きがちなことで、入居後でにホームとの間でトラブルとなる事例が数多くあります。
介護付有料老人ホームになんとか入居を果たせたことでひと安心してしまい、入居者がどんな状況になったとしても一生涯そこに入居していられる、つまり介護付有料老人ホームへの入居イコール「終身介護の提供を受けられること」であると、利用者側としてはついつい思いがちです。
実際、国民生活センターには、「ホームから退去を迫られることになって困っている」という相談が利用者から数多く寄せられています。
介護付であるとはいえ、介護付有料老人ホームは、本質的には高度な医療設備を有する専門医療機関ではありません。
したがって、入居時にさほど介護の必要がない状態であったとしても、年月が経つにつれて要介護度が進み、病院に数ヶ月くらい入院せざるを得ない場合がでてくることなどは、ごく普通に起こり得ることです。
実際、有料老人ホームの退去理由として非常に多いのが、この「病気治療による入院」によるものなのです。
よく広告などで「24時間看護体制」を謳っている介護付有料老人ホームが多くありますが、これは通常はあくまで交代制・当番制のもと、いざというときにオンコールで看護師に連絡をとることができるよう、誰かしら職員・スタッフが常駐している、ということです。
医師や看護師が24時間体制で、入居者のためにその施設でスタンバイしてくれているわけではありません。
また施設によっては、夜間は外部の医療機関に看護業務を委託しているだけの場合もあります。
介護職員は医療行為を行うことは基本的にできないため、医師がその施設に夜間も実際に常駐していない限りは、「24時間いつでも、連絡をとることができる体制の整った施設」と解釈して広告を読み取るべきなのです。
したがって、本格的な医療による治療が必要な場合は、結局病院に入院する必要がでてきますので、入居者側としては、その介護付有料老人ホームでは「治療・介護はどのような内容で、どのくらいの期間受けられるのか」、また「どのような状況になったときに、ホームを退去しなければならないか」を、入居前から注意深く確認しておき、いざそうなった場合の対策をも、考慮しておく必要があるわけです。
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